気になっていたお店に行く

 帰路の途中でお好み焼きを買って帰ることを思いつき、いつもの店によると休業日だった。そこで、以前から気になっていたお好み焼き屋に行ってみることにする。このお店、外装が物凄くイカシてて、新美南吉の「てぶくろをかいに*1」を髣髴とさせる昔懐かしい雰囲気があるのですよ。今流行りの「レトロ調」ではなくて、本気でレトロなお店。
 私が見かける時に客がいるらしい気配があった例がないので、おそるおそる訪問。爆笑問題の太田似のおじいさんが店番をしていた。白衣はパリッとしてるし髪もきれいに整えてて、板さん的カッコ良さは発しているけど、口が半開きだ……やべえ。しかしもう勝負(何の?)は始まってしまった。ここで退くわけにはいかない。胸の動悸を抑えて注文。15分くらいでできるとのこと。はい。
 おじいさんは腕が悪いらしく、両肘がほとんど曲がらない。ぎくしゃくぎくしゃく動きながらタネを作り、鉄板にぎくしゃくぎくしゃくタネを落として伸ばしている。口は半開きのまま……。出来上がるまでテレビでも見ててとテレビをつけられたものの、外装に負けずとも劣らないイカシタ内装*2とおじいさんの動きが気になってテレビどころではない。おじいさんが焼け待ち態勢に入ったのを見計らって話しかけてみる。現在77歳とのこと。昔は色々な遊びをした人らしく粋な感じが好ましかった。少し記憶障害があるらしく、3回ほど「仕事は何を?」と聞かれる。ゆっくりした会話のペースが凄く心地よい。しかし、15分といったのに30分経過……。大丈夫か私のお好み焼き。時折ひっくり返すんだが別に焦げていない。15分で焼けるものが倍の時間経っても焼けてないとはこれいかに。おじいさんと話しているのは楽しいんだがお腹は減る。
 結局、おじいさんの奥さんが帰ってきてから、ようやくお好み焼きは焼き上がる。奥さん「これ、大き過ぎるやないね!」 おじいさん「サービスサービス、ははは」 ってサービスはともかく何か色々と不安に。お好み焼きにつけるのも、マヨネーズにケチャップ(!)、おこのみソースと今まで見たことがない方式だったのでクラクラした。
 凄く塩辛そうだが、大丈夫なんだろうかと心配しながら食べてみたのだが、これが意外と塩辛くなくて驚いた。結構美味しい。が、肝心のお好み焼きが……焼いている時にヘラで思いっきり鉄板に押し付けていたので、ある程度覚悟はしていたんですが。これでお好み焼きが美味しかったら通ってたんだろうけどねえ。お好み焼き以外は全て好みど真ん中だったので大変残念。
 だらだらロマンポルシェ。DVDの続きを見てビールを飲む。
 

*1:いくつか挿絵の種類があるようですが、「てぶくろをかいに」といったら私はこれ。

てぶくろをかいに (おはなし名作絵本 4)

てぶくろをかいに (おはなし名作絵本 4)

*2:マジでカッコ良かった。特にソファと照明が素敵だった。掃除が行き届いていて、古いのに不潔な感じがしないのも好感度大だった。こういう清潔ぶりを見ると、(多分流行ってないお店だと思うんだけど、)いつ客が来ても良い様にという店主の配慮に触れたような気がして、こちらの背筋も伸びますね。