今日のいい話

 師匠のかばん持ちで出かける。師匠が昔住んでいた場所の近くを通ると、師匠が美味しい天ぷら屋がこのあたりにあったのだ、という話をしてくれる。父親と息子と2人できりもりしている小さいお店で、なかなか美味しかったらしい。もう10年くらい行ってないが、まだあるだろうか……とのこと。
 仕事が終わり、師匠とその店のあった場所に行ってみると、はたしてまだ店は健在だった。師匠に連れられて暖簾をくぐる。白髪混じりのおいさんが天ぷらを揚げていた。
 白髪のおいさんが師匠言うところの「天ぷら屋父親」なのかと思っていたら、この人は息子さんなのだそうで、帰り際に師匠が、おじさんはお元気ですか?と尋ねると店の奥さんが「おじさん(つまり天ぷら屋父親)」を呼んでくれた。一呼吸おいて、お店の名が入った白い板さん服を着た、清潔な身なりのおじいさんが出てきた。この方もう87歳なんだそう。微笑して嬉しそうな様子で、師匠と近所の通りが大分変わってしまったことを話していた。
 どうも仕事*1のせいか、今も現役で仕事をしている高齢者の・嬉しそうな表情はたまらなくココロを揺さぶるものがあり、物凄く和む。「おじさん」の職人然とした佇まいもツボ押されまくりだった。仕事へのプライドが見え隠れしてる年寄りって凄くかっこいい。
 あ、天ぷらもとても美味しかった。いかがぷりぷりしてて特に美味しかった。天ぷら屋さんの天ぷらってこういう風なんだー、と感心することしきり。七味の底力も知る。

*1:私は高齢者施設で働いている。