引っ越し

師匠邸が取り壊されることになった。師匠邸の建っている土地は借り物の土地で、貸し主が土地を必要になったため、貸し主と師匠一家の話し合いの結果、家を取り壊すことになったという。
私はかなり自分の荷物を師匠邸に入れていたので、慌ただしく荷造りに取りかかる。何しろ二日後には取り壊し作業が始まるというのだから、急がなければならない。全部をまとめるのは無理かも? という考えが浮かぶ度、本やCDや洋服が瓦礫に混じって無惨に捨てられていくイメージが脳裏をよぎる。それは嫌過ぎるので、急がなければ。
しかし、とも私は考える。私はもう少し師匠邸にいられると思っていた。この建物も建てられてからまだ3年くらいしか建っていないのに取り壊されるのだ。こんなことになるなんて、誰も予想しなかった。人生何があるかわからんなあと、悲しいような、でも悲しい自分を少し離れたところで醒めて見ているような、そんな感じ。
 荷造りが慌ただしくて、感傷に耽ってばかりもいられなかった。何しろ荷を詰める段ボールが全然足りないのだ。どうやって段ボールを集めるか思案にくれているところで目が覚めた。
 時間的な切迫感が強くてなかなかしんどい夢だった。