せともの祭に行ってみた

 開始時刻に合わせて行くつもりだったが、結局昼頃到着。物凄く楽しみにしていたのだが、事前にあまりに楽しみにし過ぎて、肝心の当日には何だか面倒臭くなってしまうという定番のパターン。良くないなあ。
 到着すると、予想外の大変な人出に怯みまくる。しかし考えてみれば「瀬戸物」とは陶器の代名詞。いわば日本の陶器の総本山の祭典に来てしまったのである。そりゃ人出も多いはずだよ! 有田の陶器市だって人出の多さを話に聞くだけで嫌になって行かなかった、そもそも陶器にそれほど興味ない私がこんなところに来るのは間違いだったんや……。
 しかし歩けば歩いた分だけ面白いことは色々あった。

  • 町の雰囲気そのものは相当好み。窯垣の小径は雰囲気が良いし、この通りに至るまでの街並みもいい。冬か春に行くと私は楽しいと思う。
  • 何故「冬か春に」なのかといえば、とにかく蚊が多いから。水鉢なんか置いてるからだよ! しかもあちこちの家でガンガン置いてるからだ! この辺の家は皆アクア野郎なのか?
  • 昔の便器というものを見る。ビッシリと便器内外に牡丹と雀が描かれており、今の感覚では何とも落ち着かない感じのデザイン。しかも当時の釉薬?の関係なのか、焼くとびっしりヒビが入ってしまったそうで「そこに便や尿が入り込んで取れなくなるんですな」と、解説ボランティアの方の弁。考えると目まいがするが、ここから今の衛生陶器に至るまでの過程に俄然興味がわく。やはり衛生陶器博物館に行ってくるべきか。
  • 愛岐トンネルにレンガを卸したりしていたのか解説ボランティアに訊ねるが「多分ない」とのこと。「瀬戸の土は鉄分が極めて少なく、白っぽい仕上がりになる。こんな色のレンガを現地で見なかったでしょ?」と確認を求められる。正直見たか見なかったか記憶が定かではないが、「白っぽい」というのは瀬戸の大きな特徴であるらしかった。
  • 器やタイルなどの日用品ばかりかと思っていたら、産業用資材製造も現役であると胸を張られる。配電設備の白いコイルみたいなやつ、あれはセラミックらしい。あと、崎陽軒の醤油さしは瀬戸の山木(この字で合ってるかは不明)がメインで製造しており、48種類にも及ぶらしい。それは産業用資材とは言わないのでは……結局日用品メインなのでは……。
  • どういう根拠で値段がつけられるのかさっぱりわからない。どれも同じような白茶碗に見えるが3000円、片や600円とか……。陶器は見る者の目が節穴だとどうしようもないものであると痛感。
  • 中学生も高校生も陶器市で陶器売ってる。英才教育!
  • 新世紀工芸館は移築した建物なのか何かの旧館なのか、割と古めかしい造り。もっとモダンな建物かと思っていた。むしろ瀬戸物ミュージアムの方がモダン。
  • 同じ形の器が束ねられ、紐で十字に縛られて所狭しと店内にゴロゴロ並べられているのをアチコチに見かける。こうして売られるものだったのだな、としみじみ。
  • 新世紀工芸館の展示品もいちいち値段がついている。正直、どうしてその値段なのかさっぱりわからない。しかし、経済活動の一環なのである、経済活動として成立させる人材を育成することが目的であるというメッセージは大変強く感じた。

 ひなびた建物が寄りかかりあうようにして建っている感じや、シャッターストリート寸前の商店街に琴線触れまくり。今回は蚊との戦いで全く落ち着いて散策できなかったので、もっと寒くなったら再訪しようと思う。