良かったねえ

軍艦島など世界文化遺産長崎新聞
 政府は4日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(本県など8県)の全23施設を世界文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。6月28日から7月8日までドイツ・ボンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で決定する公算が大きくなった。決まれば世界文化遺産は国内15件目、九州では初めて。

 産業革命遺産は、幕末から明治にかけて造船、製鉄、石炭の重工業技術が西洋から日本へ移転した歴史を証明する岩手、静岡、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島8県の23施設で構成。「軍艦島」の名で知られる「端島炭坑」や、三菱重工長崎造船所で100年以上稼働している「ジャイアント・カンチレバークレーン」など、長崎市の8施設が含まれている。

 イコモスは名称のサブタイトルを「製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」と変更した上で登録するよう勧告した。風化が進む端島炭坑について優先順位を明確にした保全措置の計画を立てることや、各施設への悪影響を防ぐために訪れる人の上限数を定めることなども追加的に要望している。2017年12月までに、進展状況を世界遺産センターに報告するよう求めた。

 端島炭坑などに関するイコモス側の要望について、内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室の岩本健吾参事官は4日夜の会見で「(登録の)条件ではないが、専門的機関の勧告であり、しっかり尊重して対応していきたい」と述べた。

 登録が勧告されれば世界遺産委でそのまま決まるのが通例だが、今回は日本と同じ委員国の韓国が、朝鮮半島出身者を強制労働させた施設が含まれるとして登録に反対している。韓国が世界遺産委で反対を表明すると委員国21カ国の投票となり、登録には3分の2の賛成が必要となる。

 世界文化遺産への推薦は各国年1件。政府は昨年1月、正式に推薦。イコモスが同年9〜10月に現地調査をしていた。一方、産業革命遺産と今回の推薦枠をめぐって競合した「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(本県、熊本県)は、今年1月に推薦。9月ごろにイコモスが現地調査を行い、来年春に登録可否を勧告する見通し。

 11年前から密かに応援してきた私としては実に嬉しいニュース。軍艦島はもう観光名所として定着しつつあったので、荒らしやゴミの最終処分場になる心配はあまりしていなかったのだけど、大牟田・荒尾の炭鉱遺跡群の保全は大変だろうと思っていたので、登録されれば観光客も増えて、十全な保全ができるようになる。大牟田は福岡県内でも高齢化が急速に進み税収が減っている地域なので、これを機会に少しでも活性化してくれれば嬉しい。
 一方で、韓国が「強制労働させた施設が含まれる」として反対しているらしいが、強制労働の行われた黒歴史のある場所として積極的に推せばいいのに、とも思う。囚人労働も行われていたし、強制労働に駆り出された朝鮮人もいた。朝鮮人のお墓は無縁仏のような恰好で存在しているとも聞いている。誇らしく立派な物だけが、世界遺産として登録されるわけではない。発展の輝かしさも発展の影にある暗い歴史も*1示す象徴としてこれらの施設が残っていけばいい。
 このニュースの一環で、久しぶりに「軍艦島世界遺産にする会」会長の坂本さんの御姿を拝見した。頭がすっかり白髪になっておられたあたりに年月の流れを感じる。坂本さんの案内で軍艦島を見学したの、ほんの数年前のことのように思えるというのに。

*1:日本の近現代史ってあまり学ぶ機会がないし。