手術前検査

 入院前の最終診察。今日の診察時に術式の決定をする。
 検査は採血、レントゲン、心電図に肺活量。絶飲食で臨んだせいか、血液の出が悪く、初の内出血。よく採血時の内出血で大きな真っ黒いあざが出来ているのを利用者の腕に見るので、あれができるのかと思うと憂鬱*1。面白かったのは肺活量の検査。検査技師の合図に合わせて吸ったり吐いたりを繰り返すのだけど、「吸」のイントネーションを強調して「ってーってーってー 吐いてー吐いてー吐いてー」という、ちょっと妙な掛け声をかけてくる。この人毎日毎日この変なテンションで掛け声をかけ続けているんだろうか、と思ったら笑い出しそうになって呼吸のリズムが乱れる。
 さて、前回地域医療連携室に電話した時、わからないことがあったらこの診察時に訊けば良い、質問事項をまとめるようにソーシャルワーカーから言われていたので、A4用紙2枚の質問リストを作成しておいた。しかし見直していると、これを診察時に訊いても駄目だろ、と思い当たる。術式について尋ねた時でさえも「腹腔鏡術なら傷が小さいです」としか答えてくれなかった医師である。入院生活や退院時のことを訊いても絶対答えてくれないだろう。質問をまとめても何処へ訊いたら良いかわからない。患者の立場とは何と心細い物かと思う。
 診察時、質問リストはまるで役に立たなかった。予想通りの展開。医師の診察後、入院の説明をする看護師に「自分が受ける手術の概要について、病院から説明らしい説明を受けていない」と不満を述べると、「これ読んでおいて下さい」と術式についてまとめたパンフレットを渡される。これだよ! これ! こ・れ・を・もっと早い時期に下さいよ!! 思わず魂の訴え。「総合待合室に置いてあるから、持って行けば良かったのに」と看護師。この流れでそう言われると「お前が悪い」と言われているように聞こえる*2。まあ自分が利用者(および家族)に対応する時の反面教師として気をつけよう。そして入院生活や、退院後のフォローアップなどについては外来看護師ではわからないので、入院してから病棟の看護師に訊けと言われる。全然質問事項役に立たねえ……。
 病院スタッフの激務ぶりは知っているので我慢するが、患者の立場というのは能動的にできることが殆どないというか、実に無力で我慢を強いられるものであるとしみじみ。ただ、担当医が物凄くつまらなそうにしていることだけが救い。医師がものすごーくつまらなさそうにしている時というのは、ありふれた簡単な症例だということの証で、つまり深刻な病状ではないということだから*3

*1:実際は大した痣にならなかった。

*2:そしてパンフレットは総合待合室になかった。腸が煮えくり返ったが、私と同じような患者を出さないようにするには苦情を投書するしかないという……。

*3:逆に言うと、医師が意欲満々な時は難しい症例であるとか、新しい(医師が不慣れな)技術を使う時ということになる。