「ダンサ セレナータ」「Celebrity」at 宝塚大劇場(兵庫)

 宝塚に殆ど前知識もなければ贔屓の役者さんがいるわけでもないし、演目に興味を惹かれたわけでもない。多分私は気に入るだろうという予測と、一度は宝塚を体験しておくべきだろうという社会科見学のような感覚で行ってみた。

宝塚大劇場というところ

 阪急電車に乗っていると、赤い屋根+ベージュの壁を備えた修道院みたいな大きな建物の間を電車が通って行く。これが宝塚大劇場か! とわくわく。
 劇場は大きなロビーを備えており、券を持っていなくてもロビーに出入りして宝塚グッズを購入することができる。レストランも数軒用意されており、幕間で食べる弁当の予約を受け付けていた。当日券を購入した後はこれらのお店をぶらぶら見学。トップスターの写真付きお菓子缶とか、メイク+衣装で「なりきり宝塚」な写真を撮れるサービスとか、歴代の宝塚歌曲を選曲して一枚のCDに収められる「私カスタム・宝塚CD」とか、見慣れないサービスやアイテムにいちいち感心する。しかし、私が手を出しがちなポストカードやクリアファイルは宝塚らしいものがあまり無かった*1
 劇場は赤じゅうたんに金の手すり、大理石の階段とゴージャスな造りだが、妙に庶民的な印象を受ける。壁にクレジットカードや食品の電光掲示板タイプの広告が入っているからだろうか。豪華だけど庶民的という妙な物を初めて見たような。ロビーのお店も含め、規模の大きいレイメイ*2といった印象。

「ダンサ セレナータ」※ネタバレしてます

  • ダンス好きの身としては、「ダンスのショウを見せるクラブ」を舞台にしたダンサー達の物語にたまたま遭遇したのは幸運だったと思う。
  • 2階の最後方の席は役者の顔が全く見えなかった。オペラグラス(500円で貸出していた)があったら、もう少し違っていたのかも。
  • 男役は髪形が皆似ているし、声を意図的に低くして発声しているせいか、誰が誰だかわかりにくくて困った。主人公の服は際立って豪華なので、それで主人公かそうでないかの区別をつけていた。なので豪華な衣装でない時は区別がつかず、主人公の親友と主人公を混同した場面があるし、秘密警察の偉い人はパタリロに見えて仕方ないし*3
  • 賑やかしがいたり、ボケをかましたり、結構コミカルなやりとりがある。そして客がちゃんと笑っていて反応が良い。
  • ヒロインが主人公にペラペラと兄の秘密(軍の反逆分子の命を受け、クーデターの準備のため潜入)を話すので、おいおい、無関係の妹を巻き込んだ兄も兄だが、妹も妹だなと思った。で、軍反逆分子である将校と連絡を取れ! となったら、ヒロインではなく主人公が「俺が行こう」とササーッと行ってしまったので、お前が将校の連絡先知ってんの? どうやって連絡すんの? と呆気にとられる。しかし思い返せば、カッコいいところは男役が務めるように宝塚の舞台は作られていると聞いたので*4、そのためなんだろう。
  • 「かの国」「植民地」としか言わなかったのでどこが舞台かはっきりしないが、「かの国」のモデルはスペインで、「植民地」のモデルは南米のどこかの国なのかな? と思った。独裁政権があって、植民地ではプランテーション農園があるというと、そこしか思い浮かばない。踊りもフラメンコ風だったし。

レビュー

 歌と踊りで色々。パパラッチに追われる噂のカップル、悪と戦いヒロインを取り戻す選ばれしヒーロー。レビュー楽しいなーと観ていたのだが、そのうち脳が許容量を超えたらしく眠くなる。しかし、羽根を背負った踊り子さんが一列に並んでラインダンスを踊る辺りから眠気が吹っ飛んでしまった。演目最後、男役トップスターが巨大な羽根を背負って、前述のラインダンサー達に迎えられながらバシバシと階段を下りてくるところは圧巻。TVで見たことはあるが、本物の迫力は凄かった。気づいたら、口を開けて見てたよ自分。動きも演奏もどこか昭和の歌謡ショーっぽいのだが、それもまた良いのかもしれない。

*1:宝塚大劇場の外観のイラストカードとか。オスカルが大々的にプリントされたクリアファイルは宝塚らしいと言えば宝塚らしいが、池田理代子らしいともいえるし。

ベルサイユのばら 愛蔵版(第1巻) (Chuko★comics)

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*2:関東の人向けメモ:レイメイは輸入品販売を行う福岡の一大チェーン店。取扱い商品は食品から家具まで多岐に渡る。

*3:多分髪の色と上下カーキ色の軍服と小柄なためだと思う。外見はパタリロみたいだったが「自分の仕事が既に時流から外れたものであると諦観しながらも職務に忠実である」という役柄はカッコ良かった。

*4:以前NHK-FMで「宝塚三昧」があった時に脚本家がそう話していた。