デ・レーケ導流堤を見に行きました+α

 GWは後半から雨になるというので、慌てて企画してデ・レーケ導流堤を見に行く。干潮時しか現れない導流堤を見るには、7時半には現地に着いておかねばならないが、出発したのは6時15分。私の脚力ではギリギリだろう。しかし休日の早朝ということもあって車が少なく、自転車をすいすい走らせることができた。天建寺橋に達した時に15分しか経過しておらず、異様に早いので少しギョッとする*1
 間に合うかハラハラしながら行ったのに、導流堤はあっさり顔を出していた。ちょうど7時半頃に導流堤を真上から見られる絶好の撮影ポイント、新田大橋に到達。

上は橋の上から昇開橋方面(上流側)を見た時の写真。

こちらは柳川方面(下流側)を見た時の写真。堤が蛇行しているのがちょっと可愛い。

橋に登りたくなる人が現れるらしく、禁止看板に加えて有刺鉄線で登れないようにされていた。ここまでされるほど登りたい奴が出るんだろうか? でも、子どもだったら登るかもしれない。
導流堤がどこまで続いているのか見に行こうと思い、新田大橋を下りるとそのまま柳川方面へ向かって自転車を走らせる。車も歩いている人も殆どなく、堤防は静かだった。桟橋で一休憩。


 自転車で筑後川沿いを走るには、梅雨入り前のこの季節が最も良いと思っている。今回の走行で私の認識は更に強まった。これ、夕焼けの時刻に来たら絶景だろうなあ*2。ここまで来て夕焼けを見たら日没までに帰るのは難しいから、ちょっと躊躇するけど。

大川市内へ

 帰路の途中で昇開橋にも寄ってみた。昇開橋は滑車の故障で現在昇降できなくなっているらしく、向こうへ渡れないとのこと。む、連休の稼ぎ時でしょうに残念な展開ですな。しかし、以前来た時と同様に橋の管理者であるおいさんは人懐こく、昇開橋に線路が敷設されていた時代の白黒写真を見せながら、色々な話をしてくれた。

  • 当時、筑後川は船の往来が多かったので昇開橋は列車が通る時以外は上がりっぱなしだった*3
  • 今、橋は鳥たちのネグラになっており、鳩、カラス、サギなどが来る。たまに糞害がある。掃除には気を使っている*4
  • 夜は橋をライトアップしているけど、イマイチぱっとしない。川から水を汲み上げて、噴水を照明と共に装飾に用いるようにしたらどうかと思っている。
  • 5-7月のえつ*5漁解禁のシーズンのみ、「えつ乗合遊覧船」というクルージングのサービスが出ている。えつ料理のランチ付1時間で1人3500円。2名以上で予約、5名以上で運航開催。定員12名まで。
  • 昇開橋ふもとにある道の駅取扱い商品では、海苔の佃煮と乾燥イチゴがおすすめ。
  • 子どもの頃は、自分も筑後川で泳いだもんですよ!!

わはは、と豪快に笑うおいさんの顔を見ながら、「に、日本住血吸虫……(((( ;゚Д゚))))))」と思ったが何も言わずにおいた。おいさんが今元気ならそれでいいじゃないの。そして、クルージングは何をするのかが気になった。若津港付近の今昔スポットを巡るクルージング(ランチ付)とかだったら、喜んで申し込むんだけどなあ。

*****

 昇開橋のふもとには温泉ができていた。バスも止まれそうな大きな駐車場に、同じ敷地内には道の駅。おお、観光客を呼び込む気満々だわ……。野菜を何処かで買って帰るつもりだったので道の駅を覗いてみたが、あさり、しじみ、海苔の佃煮など川関連の物が中心で野菜はあまりなかった。場所が場所だけにそりゃそうか。で、本日大川市内の小保・榎津地区で「肥後街道宿場を歩くまつり」という催しにて、蔵開きが行われていることを知る。帰りが遅くなるなあと思いつつ、蔵開きにも行ってみた。

「肥後街道宿場を歩くまつり」へ

 自転車を走らせること10分程度で祭り会場に到着。小保・榎津地区の住宅や店舗が出店や企画をしているということで、自転車を押しながらぶらぶら歩く。目当ての酒蔵は元酒蔵で現在は普通の住居、今日は近隣の酒蔵でこの祭り用に造ってもらった酒をここで販売しているとのことだった。当然、蔵開き独特の浮かれた感じや、蔵の見学もなかった。これは蔵開きというんだろうか……。なんだか当てが外れたような気分で、一周ぶらぶらしてから帰ることにする。特に期待していなかったのだが、建具や大工道具の紹介・展示はなかなか良かった。季節に合わせた建具の種類の豊富さ*6大川組子と呼ばれる組子細工の美しいこと! 優秀な職人さんによる欄間彫刻の見事さ。

写真は組子の一部。こうしてパズルのように組み合わせて形を構築していくらしい。
 すっかり機嫌良くなって歩いていると、知らないおいさんから「自転車で来たの?」と話しかけられる。何処から来たんだ、時間はどのくらいかかったんだ、と訊いてから、「そこで血圧測定のサービスをしてるから、あんたも計ってもらったらいいよ」と勧めてくるおいさん。ほら、とおいさんは自分の結果を見せてくれたが、それはSBP204mmHg、DBP140㎜Hgという目を剥く結果*7だった。おいさん、これヤバ過ぎるよ!! 死んじゃうよ!! 「薬飲んでます?」と訊いたが、飲んでいないし自然死希望で受診する気もないとのこと。そうですか……。普段医療機関の中にいる人しか見ないから知らなかったが、世間一般にはとんでもない値を出してる人がいるのだなあとしみじみ。
 さらに歩いていると、またも知らないおばさんから「自転車で来たの?」と話しかけられる。何処から来たんだ、時間はどのくらいかかったんだ、と訊かれてから、「そこで御酢の蔵が蔵開きしているから、行ったらいいわよ」と勧められる。勧められる場所が違うだけで、後はそっくり同じやり取りをしたのが面白く、何だろうなこれと笑いながら、勧められるままに庄分酢(しょうぶんす)さんの蔵開きへ。ここの蔵開きは私が期待していた通りの蔵開きで楽しかった。まずはスタッフの説明を聞きながら、酢醸造中の蔵を見学させてもらう。

  • 御酢は酒を造ってからそのアルコールを材料に酢酸発酵して御酢を造るらしい。勿体無いような気がしたが、「飲むような酒ではないですよ」とのことで、私たちが飲む酒はかなり米を削って雑味を取っているのに対し、御酢造りの過程で作る酒はそのような米削りの過程がないようだった。
  • 当然だが蔵は御酢臭かった。
  • 酢酸発酵中の樽の中も覗かせてもらう。梯子を使って上から覗き込むと、ふわっと熱気が来た。この熱気は菌によるものなんだそうだ。
  • タンクタイプと昔ながらの樽タイプの物が蔵の中には置いてあった。樽が一部今もあるのは「昔ながらのやり方の分も残すため」なんだそうだが、樽は気温で木が膨張したり縮んだりするため、気温によっては内容物が漏れてきてしまうことがあるそうで、あちこちに漏れを受け止める器が置いてあった。また、漏れが見られたらタガをしめるらしい。桶を全交換する場合には総額200万円ほどかかるそうで、何だか色々大変そうだった。
  • 醸造蔵の反対側では甕で御酢を醸造していた。甕は半分地中に埋められて固定されているので、御酢完成の際に取り出すのは大変だろうなあと思ったら「ポンプでくみ出します」とのことだった。文明の利器。

 その後ついうっかり試食に捕まり、生こんにゃくと椎茸とつきたて餅を買ってしまう。1つ試食を勧められて、食べてる最中に「これも食え」「これも食え」「これも」とどんどん勧められるのが面白かった。様子を見て勧めてくれよう。生こんにゃくと椎茸は連休中の酒のつまみにしようと思いつつ、のんびり帰宅した。

*1:後で計算すると、天建寺橋までの平均速度は30?/h、往路の平均時速は20?/hだった。やれば出せるのだな。

*2:筑後川から眺める夕日がまた綺麗なのだ。

*3:昇開橋から若津港付近にかけて古い旅館が数軒並んでおり、大川市内は川経由での人の出入りが多かったのだろうと推測された。

*4:相変わらず橋の欄干はピカピカだったし、不潔な様子は特に見受けられず、おいさんたちの努力が窺えた。

*5:関東の人たち向け説明:えつは初夏の間しか漁が許されていない魚。日本では筑後川流域でしか獲れないらしい。今wikipediaで確認したら、絶滅危惧種になっていた。(!)

*6:特に私の目を惹いたのは「夏戸」と呼ばれる葦を使った建具。蚊を入れずに風通しを良くする工夫が活かされていて面白かった。メンテ大変そうだけど……。

*7:SBP140以上、DBP90以上のいずれかを満たせば高血圧症。