ふちがみとふなと at art space tetra(福岡)

開演前と須崎町

仕事帰りのライヴは会場へ到着するのが大抵開演時刻ぎりぎりになってしまうものだが、今回珍しく30分以上前に到着。これは散歩の神さまが須崎町を散策するべく私に与え賜えた時間だと思うことにして、会場周辺をうろうろ歩き回る。タイル装飾が施された、凄くグッと来る雰囲気の建物*1を見物したり、教会を見物したりするが小雨が降っていて寒く、15分ほど歩き回ったところで挫折。やはり散策するなら、もう少し暖かい時期か日中昼間にしたい。
 受付開始時刻の20時頃会場に戻ると、既に会場はほぼ満席。あらら。とりあえず急いで受付し、ホットワインなど頼んでみると、これが激ウマでびっくり。ホットワインと聞いて温めた赤ワインでしょー位にしか思ってなかっただけにこの旨さは予想外で、その分美味さ倍増だった。りんご、いちじく、しょうが、オレンジ(皮つき)が入っていたのかな? レシピを覚えて自宅でも作りたいぜ。

大人の音楽

 男性(ウッドベース)と女性(ボーカル・ピアニカ・鳴り物)の二人組。電気を通さない音と女性の歌声、tetraの空間で聴きたいと欲していたジャンルの音をようやく聴けた!と喜ぶ。階段の下の小部屋スペースと大きいスペースを仕切るガラスが、ベースの音をびりびりと反響させていたのも味があった。
 ふちがみさんが顎をかなり上げて歌う*2のが気になって気になってたまらなくて困った。昔、それと全く同じような角度で首の筋肉が拘縮してしまった寝たきりの利用者さんが職場におり、その人の食事の介助は物凄く大変だったことばかり思い出してしまってどうしても頭から離れなかったのです。物凄く個人的な想起ですまん。
 しかし、何だか苦しそうに見える歌い方とは対照的に、歌、演奏、歌われる内容、歌に付いた身振りは何だか余裕たっぷり。「ふろしき仮面」や食事を作る描写が出てくる歌は、世話すべき家族がいる人が発する慈しみの視線を感じるし、子どもに向けて歌った歌、表現の遊び方*3……あらゆる意味で成熟した大人という感じ。大体、大人になっていたことを本当に「大変だ」と思っている大人は「大変だ、大人になってしまった」と歌う余裕は絶対ないと思うんだ。(続く) 

*1:2棟あり、1つは山笠用品を扱う店、もう1つは「Guest House+うどん屋」と看板を出した店舗が1階に入っている建物だった(調べたところ「界音」という名前のゲストハウスで、今年オープンしたところらしい。http://www.kaine-g.com/index.html)。

*2:歌う時は顎が80度くらい上がった状態で固定されていた。

*3:「ふなとベーカリー」なんかはパンの様子を上手いこと描写するなあと唸ってしまった。