愛憎の果て

 「ひるどき日本列島」を聞いていたら、私の故郷あたりの地域が登場し、今後開催予定の観光イベントが紹介されていた。今度海岸でハワイアンダンスのイベントがあるらしく、キャッチコピーは「○○(地名)がハワイになる!」。まただよもう。
 私の故郷エリアの市町村は何故か外国になりたがる。ある町は一時期南欧になりたがり「屋根はオレンジの瓦で、壁は白壁で」という方針で公共の建物をがんがん建てていた。その時期に建てられた下水処理施設は何処のペンションかと思うような洒落た外観だし、改装した駅の駅舎は確かに洒落ていた*1。でもさ。駅を出たら町の景観なんかにまったく頓着しない様子のお土産屋さんや飲食店がひしめいていて、「東芝」の文字が点滅するでっかいピンクとミドリのネオンサインの看板があったりするのだ。海岸沿いを歩けば、ゴミだらけの臭い海と*2、潮灼けした海の家と民宿が並んでいたりするのだ。どこが南欧なんだよ。もう外国になりたがるのはいい加減やめなよ無理だから。
 昔、「日本のハワイ」を謳った観光レジャー施設が日本のあちこちにあったという話を聞いたことがある。私の故郷の基本的な発想は、その頃から何も変わっていないのだろう。貴様日本としてのアイデンティティはどこ行ったー!という、ナショナリズムにかぶれた苦々しさを感じると同時に、昭和センス全開の建物の中に南欧風の建物が点在するカオスな都市景観が可笑しくもあり、もうなんか脱力というか、おしっこ漏らした時のような気分になる。ちなみに南欧風の駅舎内に勤める駅員さんは、夏はアロハシャツ着用で勤務している。南欧じゃなかったのか?? ホント力が抜ける。


*1:鳥栖のアウトレットの建物に似ている。

*2:そこの海水浴場は、10年くらい前まで全国でも有数の大腸菌の検出量が多い海水浴場だった。最近はわからない。