若沖と江戸絵画 at 九州国立博物館(太宰府)

 興味はあるけど混んでると聞いてたし*1「観に行かなかったら後々後悔するだろうけど、一人で観に行くには面倒くさい」という位置づけになっていた展覧会。今日を逃すともう行く時間は取れないので無理矢理行った。行くまでは結構投げやりな気分だったのだが、実際見てみると面白かった。
 日祝日は絵に近づけないほど混雑していると聞いたのだが、今日は絵の前に一列人の並びができる程度。離れて見る楽しみはできないけど、このくらいならまあ良いのでは? という感じ。博物館も稼がないといけないしねええ。
 最初はさっぱりわからんわ、という感じだったのだが、長沢芦雪の「猛虎図」*2を見た辺りからエンジンがかかる。これ……猛虎っつうか「虎の皮をかぶった人」という体つきしてるね……。軍鶏の表情の豊かさ、「白象黒牛図屏風」の配置の面白さ。そして、若沖の「鳥獣花木図屏風」に釘付けになる。こんなにモダンなデザインの日本画があったのですね!
 段々目が慣れてくると、展覧されている絵のデフォルメぶりが気になってくる。日本画といえば描く対象は風景とか人物とかばかりで、写実的なものばかりと思い込んでいたのだけど、意外と画家の空想やアイデアが盛り込まれているらしいと考える。「当たる光の強さによって雰囲気が変わっていく絵」というのも面白かったし、木にしがみつく雪夜の兎の絵なんかもインパクトは絶大だった。これって要は江戸時代のアイコラじゃね?と思ったのもありましたな。描く人の頭の中を見せてもらったような、そんな感じの面白さを満喫してきた。
 あと、以前たまたま見かけて気に入った中村芳中に再会してちょっと嬉しかった。この人も江戸時代の人だったのですね。

*1:ごった返す展覧会と考えるだけで行く気が半分に萎える。

*2:今更気がついたのだが、はてなダイアリー内で展覧会の絵を逐一紹介&解説していた。→「若沖と江戸絵画展」コレクションブログ