太陽を迎えに行け

 昨日の夜から、じわじわと暗い気持ちが暗雲のように私の中に滲み始めていた。この感じは凄くヤバいなあ、ああ凄くヤバい。こんな時は早く寝て、明日は朝から自転車で走ろう! そうだ、夜明け前に出発して夜明けを見に行こう!ってんで昨日は帰宅早々就寝。
 午前4時起床。モソモソダラダラ支度して、それでも5時に出発。仕事の日だってまだ寝てる時間帯だよ……。まだ真っ暗で、ギヤを変速しても何速に切り替わったんだかさっぱり見えないという有様。美利達ちゃんのライトは5m先くらいまでなら照らす結構明るいライトなのだが、それでも路面状態が悪い歩道を走るのは心許ないので川沿いの車道を走る。車から見たら凄く見えにくい可能性があるので、いつでも止まったり脇道に避難できるようあまり速度を上げずに走るようにする。
 オレンジ色の街灯が、川の水面に長く長く伸びて、静かに光っていた。こういう時、川の水はとろみがついているように見えるもんだな、と妙に感心。筑後大堰の水門の辺りは赤と黄色の灯がくるくると回っていて、ちょっと不穏な雰囲気だった。車がほとんど通らない川沿いの道は静かで街灯がきれいで、これはこれで風情のあるものだな、なーんて考えていた。
 47号線から分岐し天建寺橋(下地図)に到る144号線に入ろうとした時、はっとしてちょっとひるんだ。
道沿いに街灯が全くないのだ。頼りは美利達ちゃんのライトのみ。道の脇は延々と続く堤防、反対側の脇は延々田んぼ。霧が出ていて、まっすぐ延びているであろう道の先はあまりよく見えない。うわー、死体の1つや2つ転がっていてもおかしくない雰囲気だわ、ていうか私が死体で転がっててもわからないかもNE☆ 怖かったのだが、出発したばかりだし戻るに戻れず何となく進む。道の脇から犬の散歩のおじさんとか出てきたら間違いなく心停止しそうな大声でギャーとか叫んで犬轢いてたと思うが、無事事なきを得る。
 下田大橋を渡った頃から次第に空が明るくなり始めた。ああ空が白んできたな、と思ったらその後は早くて、数分単位でどんどん空が明るくなっていく。太陽の動きってこんなに速いんだなあ。しかし、西に向かって進んでいるので全然朝日と御対面しない。夜を追いかけて走ったら「夜明けの空を楽しむ」という当初の企画からズレまくりだろ! 結局、大川に入ったところで引き返し、東の空にやわやわと立ち上る赤い朝日を発見したのだった。写真はまだ肉眼で見られる明るさの朝日。目で見る朝日はもっとずっと大きかったのに、目で見たようにカメラで写らないのが残念。暗い気持ちはまだ残っているけど、幾分なだめられた。帰宅して再度布団に入り込むと、足が冷え切っていてなかなか暖まらなくて困った。Tシャツ1枚で走れた今日でこの冷え込み方では冬はもっときついだろう。足元の防寒対策を練らなくては。