犬を飼う

　成り行きで犬を飼うことになり、抱いて帰る。犬はミニチュアダックスフンドの子犬。子犬といっても足腰はもうしっかりしていて、子犬子犬していないレベルの子犬。
　これから電車に乗らなければならないのだが、犬の分の料金をどこで支払えば良いのかわからなくてウロウロ。犬は重くて、犬用のキャリーバッグを買ってから犬を迎え入れるべきだったよなあと自分の計画性のなさを悔やんだり、乳児を抱いて重そうな母親を見て、お母さん今ならあなたの気持ちがわかりますぜと思ったり。犬も飽きてきて私の指を噛んだりするので、鼻の穴を押さえたり口を軽く叩いたりして、噛んではいけないと教える。最初が肝心だからね。
　自転車だの犬を飼うだの、金もないのに初期投資がかかる遊びばっかりしてるなあ、ん？犬を飼うのは遊びなのか？とか、犬のトイレ砂買わなきゃとか、家汚されるんだろうな面倒だなあとか、小型犬は全然好きじゃないのに何故ミニチュアダックスフンドにしたんだ私？今の家では中型〜大型犬は飼えないから仕方ないよとか、淡々と思いを巡らす。腕の中で眠る犬は可愛いし、飽きて腕から飛び出しても呼んだら必ず来るし、まあやっていけるんじゃないのという感じでこれからの見通しは悪くはない。しかし全然ワクワクしない。
　ウロウロしているうち、職場の看護師さんに偶然会った。いや〜、犬を飼うことになったんですよ〜と言うと、女の一人暮らしで犬を飼い始めるってことはもう結婚は諦めたってこと〜？ と聞かれる。ホントだ!! 結婚はもういいやと思ったら犬を飼うとかそういう話を以前したよ！ わははと二人で笑った。
　誕生日早々何という夢を見るんだ私。何だか不吉だ。