法治国家で生きる

 生き延びるための手段なら、このホームレスの人の逞しさは凄く痛快な気持ちになったなあ。

公園への住所転居届認める 大阪地裁毎日新聞
 大阪市北区の公園でテント生活しているホームレスのC(引用者により伏字)さん(55)が公園を住所とする転居届を区長が受理しなかったのは違法として、処分取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は27日、公園での住民登録を認め、処分を取り消した。西川知一郎裁判長は「テントの所在地は生活の本拠としての実体を備えており、住民基本台帳法の住所と認められる」と判断、「占有権がないことを理由に受理しないのは許されない」と結論付けた。
 原告側代理人弁護士によると、公共用地の公園での住民登録を認めた司法判断は初めてで、行政のホームレス対策に影響を与えそうだ。大阪市大阪城公園中央区)など2公園で生活するホームレス22人のテントを30日に強制撤去する計画だが、「不法占拠と住民登録は別問題」として予定通り撤去する方針。
 Cさんは98〜99年ごろから北区の扇町公園で生活を始め、00年ごろテントを設置した。知人宅に住民登録していたが、警察に違法性を指摘されたのを機に、生活保護など住民サービスを受けやすくするため、04年、公園を住所とする転居届を北区役所に提出した。区長は「私的な工作物設置は公園の適正な利用を妨げる」と受理せず、市長も審査請求を棄却したため、昨年提訴した。
 判決は、住民基本台帳法の「住所」について「生活の本拠を指し、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かによって決めるべきもの」と指摘。そのうえで、Cさんが不受理までの約4年間、同公園のテント群にあるテントを寝泊まりの場所として占有し、食事の場所や居間として利用、日雇い労働などが終われば戻るという日常生活を送っていたと認定。さらに、「テントは四隅に杭が打ち込まれ、地面に固定された構造物で、生活の実体を具備している」と述べ、同法上の住所と認めた。
 市側は「扇町公園のテント撤去に向けた努力をしており、占有権限のないテントはいずれ撤去され、定着性は極めて不安定」と主張。しかし、判決は「占有権限があるかどうかは生活の本拠たる実体の具備とは本来無関係」と退けた。【前田幹夫】
 村田匠大阪市北区長の話 判決内容を十分検討したうえで適切に対処したい。
 ◇法的にはあり得る
 ▽小早川光郎・東京大教授(行政法)の話 権限なしに人の家に住み着いても安定した暮らしができていれば住所となることを考えても、今回の判決は法的にはあり得る判断だ。しかし、公園に住み続けることは、利用者や付近住民にとって迷惑かもしれず、どの程度まで居住を認めるかは、住所としての法的評価とは別に行政が判断すべきことだ。
 ◇勝訴判決に原告「驚いている」
 原告のCさん(55)や支援者らは判決後に会見し「画期的な判決」と評価した。Cさんは「勝てると思っていなかったので驚いている。生活保護を請求しようと思う」と笑顔を見せ、「(大阪市が)大阪城公園の仲間らを追い出そうとしているが、判決が暴力的な追い出しの歯止めになってほしい」と30日の強制撤去中止を訴えた。
 また、代理人のD弁護士は「ホームレスの多くは住民登録をあきらめ、基本的な行政サービスから排除されている。市は控訴せず判決を受け止めてほしい」と語った。【前田幹夫】
 ◇東京都、判決に戸惑いぎみ
 4500人のホームレスを抱える東京都は判決に戸惑いぎみだ。福祉保健局の担当者は「そもそも、住民登録を求める理由がはっきりしない。住民票は就職や部屋の賃貸契約などの際に必要だが、社会生活を営もうとするなら公園に住む必要もなくなるのでは」と首をひねる。
 都は、都内5カ所の公園に住むホームレスを対象に、借り上げアパートに格安の家賃で入居させ、就労を支援する移行事業を進めており、すでに1000人余りが公園を離れた。担当者は「公園などを占有する生活は都民とのあつれきも大きく、望ましい状態ではない。今回の判決で、公園に居住する正当性が認められたわけではないので、引き続き生活基盤を立て直す支援を続けていく」と話した。【猪飼順

 システムの中で認められた手段を使って、自分の生活を再構築しようとするおいさん達の意欲がいいなあ。これ、その後公園のテント撤去されたりして大変なことになってるみたいだし、市も控訴してるから、まだまだ当人も弁護士やその他の支援者も大変だと思うけど、是非とも頑張って欲しい。