呆けすとら「歌舞音曲スペクタクルショウ2006」 atスミックホール エスタ(小倉)

 今回の公演前に気にかかる記事を見たのと、自分の仕事で直前までドタバタして疲弊しまくっていたのとで、どうにも気分が乗らないでいた。
 今日もせっかく出かけるしバーゲンシーズンだし、福岡の街をブラブラしてから行こうか迷ったのだがテンション上がらず結局中止。出発直前まで家で明日以降の食事の支度をして過ごした。

*****

 開演ぎりぎりに到着すると、入場口に出演者達がスタンバッていて*1、中に入れず出演者達の後ろで見物。音が鳴り、紙吹雪が舞った途端、あれはどうにも納得いかんとか気が乗らないとかグズグズ言ってたのが吹っ飛ぶ。
 「パダンパダン」を演奏しながら出演者達はフロアを進む。人が結構いるので進みにくそうだった。真ん中に花道を作っておいた方が良かったのでは?と思ったが、おそらく予想以上に入りが良かった(花道確保の必要はないと主催者側も考えていた)のだろう。メロディに合わせて言葉がはっきり私の脳裏をよぎったのだが、何故かそれは「かわいそうだよ〜ズボンのオナラ〜」*2だった。何故だ。
 幕が上がり、公演スタート! ああ、やっぱり呆けすとらはステージで観てナンボだなあとしみじみ(何故TVに出たんだろう?)。魚は水中、あやかしは闇、呆は舞台。それぞれがキラキラして見える場所というのがあるのだなあと。
 幕は天井に張られ、舞台の両脇には映像演出。うわー、今回すげえ凝ってんじゃん、とキョロキョロする。雛壇構造になっているステージなので、メンバーに誰がいるかはっきりとわかる。フクヤマさんの帽子が妙に安い感じだが物凄く目立つ。手作りか? そして以前ドグラマグラライヴにコメントを下さったmewyujiさん初見。抜け目ないワタクシ。
 前半はコノヨノモノニアラズな人達が曲ごとに入れ代わり立ち代わり登場。その中で凄く目を惹いたのは一つ目唐傘の人の登場場面。傘(?)を支柱にして顔より離れたところにお面を固定させ、ヒョロリヒョロリと歩んでいたのだが*3、コノ世ノ者ニアラズ感満点。
 一つ目唐傘と同時登場の者は二人いたのだが、三人とも白塗りでほぼ全裸、なまはげ・一つ目小僧・猟奇殺人風と恐ろしげな者ばかり。ここはひとつお約束として子どもに泣いて欲しいものだと思っていたが、意外に泣き出す子どもはいなかった。うーんつまらん。やっぱり沼澤邪鬼くらいやらないと*4駄目なのか?と思ったら、なまはげにおどかされて1人火がついたように泣く子ども。ははは、そうこなくっちゃ! って私も大概イイ性格してますね。
 前半の曲は聴いたことがある曲ばかりで、ドグラマグラライヴでもお馴染みの曲ばかり。客は座ったまま熱心にステージを観ている。盛り上がる曲をこんなにやっちゃって、後半大丈夫なの?と思っているうちに1時間経って、前半終了。終了直前の曲についてた映像が気になって仕方なかった。あれは仮面の忍者赤影? 映像では怪獣と戦っていたので違いそうな気もするが。
 前に観た時も思ったことだが、呆けすとらのライヴはどう見ても修学前と思われる幼児が結構いる*5。そして、今日は50代以降と思しき方々もちらほら。体力がない人用の対応は必須だろうから、オールスタンディングというワケにはいかないのだなあと納得。後ろの雛壇席設置はナイスだった。パイプ椅子よりアングラ臭漂うし。年齢層が違うために生じると思われる?ノリの違いには相変わらず戸惑うが。
 後半一発目はミステリアスケイト。去年の呆けすとら公演時のドラァグ・クイーンアレグリアがモチーフだったらしい。今回はSAYURIがモチーフらしいが、SAYURIっつうか八百屋お七(博多新劇座風味)に見えたわ。日本髪を内側に黒画用紙入れて膨らませていたり、相変わらずチープな作りだが3回目にして見慣れて萎えなくなった。退場時、歌いながら客席を横切る途中で懐からライトセイバー*6を抜いたのには笑ったなああ。
 最後は踊って盛り上がるよ、と聞いていたのだがこんなに客が座っているのにどうやって「踊って盛り上がる」んだ? とどうやって客を立たせるのか興味津々。この曲になったら観客が一斉に立ち上がる!とか、ミステリアスケイトの客指導のようなことをするのかと思っていたが、フロアに下りた出演者が、曲中に「ハイ立って立って!」と指示を出していた。普通やん。
 1曲踊って、このまま畳み掛けるようにラストまでいくか?と思ったら「友よ」。大人数での演奏を聴くのは初めて。ホールの高い天井へ、ふわーっと漂い立ち昇るように音が流れる。ドグラマグラで聴く時とは大分印象が違う。その後は新曲だという「炎」、カーテンコールのようなメンバー紹介があってシメ。子ども達がぴょこぴょこ跳ねまくっていたのが面白かった。
 正直、私はもう少し踊りたいくらいで、ちょっと余力が残ってしまった。しかし子どもや年配の方が含まれていることを考えれば妥当な構成だろう。あらゆる年代が楽しめるように配慮したというところか。予め伝えられていた終演時刻きっちりに終わったので、想定していた範囲内の電車に乗れたのもありがたかった。しかし「今なら1本早い電車に乗れる!」と終演後すぐ全速力で駅まで走ったので、電車に飛び乗った時には息はばーばー上がっているし汗はダラダラだし、余韻も風情もあったものではなく。
 あ、あと踊っていたら知らない女の人が笑顔で近寄ってきて「イイですね!」と褒められた。照れるやら戸惑うやら。 

*1:その中にマスクマンがいた。呆けすとらは前衛舞踏な人達が出るので、その一味かと気に留めなかったのだが、近くで見たら森川リョーサイ氏だった。いかレスラーとかえびボクサーとかいましたが、これは尺八レスラー……。

*2:「ちびまるこちゃん」でまるこがした独々逸の一部。

*3:千と千尋〜」のカオナシを具現化したようなというか…。

*4:10メートル先から沼澤を見ただけで、葛西純の子どもはものっそい泣いたらしい。

*5:親は我が子のディスコ難聴の心配とかしないんですかね。私のディスコ難聴は自分の選択した行動の結果なのであきらめがつくが、幼児は自分で選択できないからねえ。結構本気で心配。

*6:? 光る警棒みたいの。