師匠は刺激に弱い

 私の師匠は魅力的かつ大変能力の高い人だが、ADHDなので新規の刺激に大変弱い(どんどん新しいものへと注意が移ってしまう)。
 朝は師匠邸の掃除から始まる。今日は兄弟子がいないので、私が掃除機をかけて回ると、キッチンの床がコーヒーのこぼしたのやら何やらであちこちしみになっている。そういえば広間のコーヒーをこぼしたしみも、誰も拭き取らないのでもう1週間そのままだ。
 締切間近の仕事が多いので、今日は忙しい(朝の掃除を早めに切り上げなければならない)とわかっていたが、師匠に一言断って床を拭くことにする。私はしみの部位だけ拭きとって終わりにしようと思っていたのだが、師匠は早速自分も拭きだしてしまう。「しみだけじゃなくて、全体を拭いた方がきれいになるわよ!」って、いやその通りなんですが師匠、今日は忙しい日だから……。うかつに師匠に新規刺激を与える結果になってしまったことを後悔するも後の祭*1。結局、師匠と2人で1階全体の床を拭く羽目になる。


 昼食後、冷蔵庫の野菜室を覗きこんでいた師匠、ひからびたみかんを見つけて、やおら野菜室の掃除を始める。どんどん中身を捨てていく師匠、「棚を取り外して洗いたいわ!」。いや、でもそれやってたらますます時間が……ここは止めた方が良いんじゃないかと思い、「もうすぐ大掃除ですし、今日は他の締切もありますから、今日は捨てるだけにして洗うのは大掃除の時にでも…」とゴニョゴニョ言ってみると一応納得はされたものの、「じゃあ拭くわ!」とゴシゴシ。少し私も進歩したかなあと思ったり。

*1:おそらく、正しい対応は黙ってさっさとしみ部位を拭き取ることだっただろう。