短気は損気

 朝の犬の散歩中、うっかりリードを落とした。公園内だったので犬はテンション高く、「待て! 待て!」と声をかけても待たずにどんどん進んでしまう。結果、朝霜で濡れた地面に引きずられて、リードの持ち手が泥だらけになった。「ああああー! もー! 泥だらけじゃんー!」とリードの泥をバコバコ叩いて落としていたら、揺れるリードが胴体に当たったからなのか、それとも普段無口な飼い主が怒声を上げたからなのか、犬がパタッ……と横向きに倒れた。倒れて私の顔を見ていた。それで私もハッとして治まったのだけど、犬が倒れたために防寒用に着せていた犬のジャケットが泥だらけになった。結果的に私の手間は増えた。やはり短気は損気だな。

 しかし、あの倒れたのは一体何だったのか。降参の腹見せとも違うし、私が黙ったらサッサと歩き出したので腰を抜かしたわけでもなさそう。別に怯えてもいなかった。「まあ、落ち着けよ」と私を宥めていたというところだろうか。